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ものづくり好きが作る、商品の魅力を最大限引き出す「魔法の箱」
こんにちは、商工振興課の大澤です。
今回は、「ケース」を作る会社を取材させていただきました。
突然ですが
皆さん、大切なものはどこに仕舞いますか?
大切な人からもらったジュエリー
日々の努力が功をなしたときに手に入れたメダル
誰かに想いを伝えるプレゼント
大切なモノにばかり目が行きがちだけど
それをさらに輝かせる「ケース」がいつもそばにいてくれていることに
みなさん気が付いていましたか?
私は今回初めて気が付きました。
今回はそんな
大切なモノを
大切なキモチを
仕舞う「ケース」を作る
みんなの幸せを想う会社を取材しました。
実はちょっと、長くなってしまいました…。
まだまだ、もっと書きたいことはたくさんあったのですけどね。
時間ないよ!って人は目次から読みたいところ読んでくださいね。
株式会社 三富子ケース
ひたちなか市十三奉行に「ケース」を作っている会社があるのをご存じですか。「ケース」つまり大切なモノを入れる箱を製造されています。
例えば、ジュエリーやメダル、カトラリーやレンズ、理化学品の収納箱など幅広く手掛けていらっしゃいます。
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今回お話を伺ったのは
左端の笑顔が素敵な社長、大畑仁人さん
前段中央、右から2番目の平井さん
そして、同じく右から3番目の網代さんです。
「ケース」への想い
大切なものを仕舞う「ケース」だからこそ(株)三富子ケースさんならではのこだわりが3つあります。
こだわりその1 物の魅力を最大限に引き出す
社長の大畑さんのお話の中で、ダイヤモンドのお話が印象的でした。
大畑さん:ダイヤモンドって、ここにコロンと転がっていても、あまり輝かないんですよ。ダイヤモンドは周りから光が当たることによって輝きますよね。コロンと置いてあるよりも、ケースの中に入れた方がより輝きを増して見えるんです。だから「ケースに入れることによって、その物の魅力をさらにアップさせる」ていうのが私たちの役割なんじゃないのかなと思ってるんです。
このお話を聞いて、思わずハッとしてしまいました。
これはダイヤモンド以外にも言えますよね。
どんなに素敵なものでも、そのままより、それにふさわしいケースに納められていたら、輝きが増して見えます。
素敵なケースに入っているからこそ、より魅力的に見えるんですね。
(これからプレゼントを検討されている方は、ぜひ素敵なケースに入れて贈るとさらに喜んでもらえるかも!)
こだわりその2 大切なものを守る・使いやすくする
これは「ケース」として、大切なものを保管する機能。
壊れないように衝撃から守ったり、水に濡れないように、ほこりをかぶらないように、痛まないように守る。
さらに、収納することで、使いやすく。
カトラリーや理化学品などは収納することで、数が多いものでも、一度に運ぶことができます。
またすべて揃っているか、不足はないかなどを確認することもできます。
「ケース」として、この機能面はとても重要だとおっしゃっていました。
こだわりその3 贈る気持ちを形にする
ジュエリーやメダル・勲章などは贈る人と贈られる人がいます。
誰かに感謝を伝えたり
誰かの功績を讃えたり
贈り手が思う気持ちが込められています。
その気持ちを「ケース」によって演出できる、贈る気持ちを形にできる「ケース」でそのお手伝いをしたいとおっしゃていました。
縁の下の力持ち
そんなこだわりたっぷりの「ケース」
どんな方々が作っているか、気になりませんか?
ものづくり好き
今回、作業場も見学させていただきました。
ここで作業されている方のほとんどは「ものづくり好き」なんだとか。(株)三富子ケースさんにはたくさんの「ものづくり好き」さんが集まっていました。
大澤も、ものづくりが好きなので、ちょっとうずうずしてしまいました(,,•﹏•,,)ウズウズ
すごいのが、ほとんどが手作業なんです。
箱の枠・土台、そこに入る台座、箱を彩る生地まで、ひとつひとつほぼ手作業で
加工から糊付けまで行っていました。
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もちろん機械もありましたよ。
しかも、とってもかわいらしいレトロな機械!なんと現役!
大畑さん曰く、昔の機械のほうが作りが単純で扱いやすいんだとか
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無骨だけど、どこか愛らしい…。
そんな魅力いっぱいの作業場でしたが、なんとここには写らない、影の職人さんたちが実はたくさんいるんです。
それが内職さんたち!
普段、現場にはいない内職さん。なんと20人ほどいらっしゃるとか!
その内職さんたちと、どのようにコミュニケーションをとっているのかも聞きました!
中小企業が向き合う「働き方」
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できるところからIT化
たくさんの内職さんとのコミュニケーション、
以前は、商品の受け渡しの際に直接話したり、作業工程内でわからないところがあれば電話などでやり取りをしていたようです。
そして数年前、「ビジネスチャットツール」を導入したところ、内職さんとの連携がスムーズに!
進捗や課題などを共有しやすくなり、電話だと時間や相手の都合に合わせなければならないところを、チャットのような形で連絡が取れるようになったそうです。
これまでは電話口で工程の説明をしていたところが、今では写真を撮ればすぐに共有できるようになり、より明確に情報を伝えられるようになったとか。
さらにすごいところは
内職さんたちで情報共有していた作業工程を、まとめてマニュアル化にまで発展したそうです。
今では、もともと内職さんだった方が、マニュアルの動画編集もされていて、それを全体で共有することで作業の効率化が進んだとか。
「ビジネスチャットツール」のほかにも「アプリ構築サービス」や「オンライン会議ツール」を活用してIT化を少しづつ取り入れているそうです。
こういったIT化を取り入れながら、(株)三富子ケースでは社員さんの働き方、についても力を入れています。
働き方への工夫
今回お話伺ったのは社長さんのほかに、社員の平井さんと網代さんにもお話を伺いました。
内職から正社員へ:平井さん
平井さんはもともとは内職さんで、子育てが落ち着いてからパートへ、そして正社員へとキャリアアップされています。
内職の経験を経て、今の内職さんとの連携業務を担っていらっしゃいます。
平井さん、実は以前、令和3年2月10日号市報にも掲載させていただいています!(4面です)
ぜひこちらもご覧ください ↓↓
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(株)三富子ケースさんでは一人ひとりの働き方を尊重しています。
正社員やパートさんは、家庭や家族との時間がおろそかにならないよう、出勤退勤の時間を一人ひとり調整できるような環境を作り上げていらっしゃいます。しかも10分刻みで!
また、就業規則では時短勤務や子供の看護休暇はもちろん、特別休暇も整えていらっしゃいます。
この特別休暇、PTAや授業参観の時などに活用できるそうです!
さらに、県民の日は会社自体をお休みにしています。
この、県民の日を休日扱いにすることが、取り組まれた働き方改革の中でも一番簡単だったと大畑さんはおっしゃっていました。
平井さんが、内職さんから正社員までキャリアアップできたことの要因の一つに、この職場環境もあるのかなと感じました。
リスキリングを経てますます仕事が楽しくなっている:網代さん
網代さんもパートから正社員へキャリアアップされています。
網代さんはいまCADとイラストレーターを勉強中だとか。
2Dは、なんと1年で習得して、今は3Dを勉強中。
就業時間内に勉強できるそうで、その時に少しづつ学んだり、研修へ行ったりしているそうです。
網代さんは「今がすごく楽しい!」とおっしゃっていました。
新しいことを学んで、機械を動かせるようになって、実際に自分が書いた図面が形になるのが楽しいのだと。
とっても活き活きしていらっしゃいました。
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また網代さんをはじめ、これからどんどん機械を扱える人を増やしていきたいと大畑さんはおっしゃっていました。
経営は社員の幸せのために、商売はお客様の喜びのために
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こういった職場環境のブラッシュアップは簡単じゃないと思います。
特に、10分刻みで一人ひとりの出退勤を調整するのは、本当に大変なのではないかと、取材中思ってしまいました。
それぞれの働き方への価値観を尊重しつつ、個人の家庭等の事情に寄り添う。一朝一夕にできることではないと思います。
それを実現した(株)三富子ケースさん、社長の大畑さんには事業を営む上で大切にしていることがあります。
それが「経営は社員の幸せのために、商売はお客様の喜びのために」
「商売」はお客様のために、お客様に感動していただいたり、喜んでもらうためにやっている。他社では作れないような商品を提案して提供して、よりお客様に喜んでもらうためにモノづくりをやっているんだとおっしゃっていました。
一方で「経営」は何のためにやっているのか。
これは、原文ママで引用させていただきます。
僕は社員の幸せのためにやっている。
その幸せっていうのは、社員とその家族の人間的成長と幸せのために、心の豊かさのために、やっている。
背景には、自分自身できることが、すごく僅かなことだなと思っているんです。こんな小さな会社でも、注文入って作るんですけど、僕がつくれるモノなんてたかが知れてるんですよ。これでは、量的にも、お客様の要望には応えられない。そうすると、やはりみんなで一緒にやらなければならないと思う。
人間はとてもちっぽけで、1人では何もできないので、みんながいるから、一緒に成し遂げられるんだろうと思うんですよね。
その想いが、工夫が、今の働き方に生きていると思うんです。
大畑さんの言葉選びが、本当に素敵でした。
取材中もっといろいろなことを聞かせていただいたのですが、常に言葉の選び方がとても丁寧で、インパクトがあって、印象に残る言葉がたくさんありました。静かで熱い言葉が多かったです。
これからは、「ケース」を見るたび、もしかして…?と思ってしまうかも。
(株)三富子ケースさんの発展がたのしみです。